「過敏性腸症候群」「IBS(Irritable Bowel Syndrome)」は「過敏性大腸炎」とも呼ばれます。

腸に明らかな異常が見つからないにも関わらず、腹痛や腹部不快感を伴う下痢・便秘を繰り返す病気です。

体質のせいと思っていて病気である事を認識されていない方が非常に多く、ストレスが多い現代、5~10人に1人がこのIBSになっていると言われています。

ストレスに弱い人がなりやすく、まじめな人や気の弱い人、20~40代の働き盛りの人は要注意です。

過敏性腸症候群は命にかかわる病気ではないため、軽視されがちです。

しかし、日常生活において色々な面で悪影響が出て、生活の質(Quality of Life =QOL)の低下が起こります。

過敏性腸症候群になる原因

心理的要因とされ、日常生活のストレスが自律神経に作用し、腸が過敏に反応します。
このことから過敏性腸症候群は自律神経失調症の発現形の一種と考えられます。

そして、腸ではこの神経刺激により腸粘膜からセロトニンと言われる神経伝達物質が分泌され、腸内にあるセロトニンの受け皿(受容体)と結合し、腸の便を押し出す動き(蠕動運動)の異常をきたすと言われています。

正常な大腸は、小腸から来る液状の便の水分をゆっくり時間をかけて吸収し、固形状の便にします。

腸の動き(蠕動運動)がはやくなると便はすぐに流れ、水分吸収が十分に出来ず、下痢になります。

逆に、蠕動運動がゆっくりになると便が長時間大腸にあるため、水分が吸収されすぎてしまい、硬い便となり、便秘になります。

男性は下痢になりやすく、女性は便秘になりやすい傾向にあります。
逆の人もいますし、下痢と便秘を繰り返す人もいます。

便通異常で注意が必要な病気

大腸癌や炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病など)は過敏性腸症候群に比べ頻度は低いですが、いずれも年々増えてきている病気です。

過敏性腸症候群では慢性的な下痢や便秘により痔になることがあり、便に血液が付いていても、痔による出血と考えて、医療機関に受診されない方もいます。

この出血が大腸癌や炎症性腸疾患の症状であることがあります。
過敏性腸症候群と思っても一度は大腸内視鏡を受けて、腸に異常が無いことを確認することを強くお勧めします。

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院長 浅井 陽介